歯科開業レポート

金融

歯科医院開業 開業資金の調達

2022.5.16

資金調達方法 歯科医院を新規に開業するためには5000万円以上の資金が必要だと言われています。すべて自己資金という方もいらっしゃるでしょうが、多くの場合何らかの形で融資を受けることになります。今回は資金調達の方法について説明していきます。 ① 公的融資 公的融資とは政府や自治体など公的機関から融資を受けることを言います。代表的なものが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は「一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とし、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための金融機関」です。公的機関と聞くとハードルが高く感じられるかもしれませんが、銀行からの融資と比べ縛りが少なく申請しやすいのが特徴です。歯科医開業で受けられる融資制度に「新創業融資制度」があります。無担保、保証人なしで3000万円まで融資を受けられることが特徴です。 どんな融資を受けるにも事業計画が経営者目線で作られているかは重要です。よりシビアな事業計画を提出することで融資を受けられるかが格段に変わります。また公的機関である日本政策金融公庫では自己資金の有無というよりも、自己資金を貯めるための経緯、すなわち資金管理能力を見られていると思ったほうがよいでしょう。公共料金の支払いがきちんとなされているか、税金の支払いは滞っていないかなどをチェックされます。しかし歯科医開業の満額融資は一度断られることが多いといいます。ここで諦めることなく何度でも交渉に出向きましょう。一度の相談で断られたからと言って簡単に諦めてはいけません。何か改善できる点はないか相談し、本気で開業したいことをアピールすることも大事です。 ② 保証付き融資 信用保証協会に保証料を支払うことを条件に銀行から融資を受けることを言います。信用保証協会とは各都道府県にあります。一般的な銀行において保証協会なしのプロパー融資については難しいと考えてください。逆に、保証協会付きであれば可能性は高くなります。まずは信用金庫など地域に根差した金融機関に相談しましょう。 ③ ファイナンスリース 歯科医院に置いて費用の大半を占めるのが設備投資。資金に余裕があれば購入したいところですが、開業資金に余裕がない場合リース契約するという手段もあります。融資の枠を使わずに導入でき、審査期間も短くて済みます。また購入時に発生する事務手続きが少なくなります。また、リース期間を終えればその時点で新しい設備をリースすることも可能です。CTや電子カルテと言った数年で性能が向上する設備はリースのほうがよい面もあります。しかし、リースはレンタルとは違い途中解約できずフルペイルアウトが基本取引です。フルペイルアウトとはそのリース物件からもたらされる経済的な利益を享受することができる反面、使用することで生じるコスト(税金やメンテナンス費)を負担している状態のことをいいます。導入費用は抑えられますが、結果的に購入よりも高くなってしまうことがあります。金利によっても左右されますので、比較検討が必要です。 ④ 公的機関からの補助金・助成金 「トライアル雇用助成金」や「IT導入補助金」など金融機関からの融資とは違い用途が限定されますが、返済義務がなく担保や保証の必要がないことが最大の特徴です。これだけ聞くととてもお得に感じるかもしれませんが、申請すれば必ず受給できるというわけはなく税金からの助成ですので準備する資料も手間がかかります。また、助成金は開業資金として活用はできません。開業後の運営において補助的な役割を果たすものとお考えください。 融資を受けるにあたって大切なことは「事業計画」です。それは日本政策金融公庫であっても金融機関であっても同じです。新規開業は実績を評価できません。事業計画から開業者の能力を判断するしかないのです。事業計画を作りこむことは並大抵の労力ではないでしょう。しかし融資を受けるためにはシビアに作ることが大事です。見通しの甘い事業計画では経営能力を図ることはできません。経営者として長期的に分析し作り込んでおきましょう。

歯科医院開業 必要な資金ってどれぐらい?

2022.5.09

「何に」「いくら」必要か 歯科医院を新規に開業するにあたって必要な資金は5,000万円以上と言われています。いったい何にいくら必要なのでしょうか。テナント物件を賃貸し開業すると仮定し、準備しなければいけない資金について説明していきます。   ①    物件費 家賃50万円のテナント物件を賃貸した場合、敷金・礼金・保証料などトータルで500万円ほどになると言われています。敷金の月数によってはそれ以上になるでしょう。大まかな目安として家賃の10ヶ月~15ヶ月分と想定しておきましょう。駅近で利便性の高い場所は集患が見込めますが、おのずと家賃も高くなります。故に家賃が安くなれば、物件に対する初期費用も抑えられるのです。   ②    内装工事費 内装工事費は1500万円~2000万円と言われています。足場などの仮設工事から始まり、クロス貼りから給排水に至るまでさまざまな工程があります。歯科医院は患者さまごとに診療ユニットを使用するので、給排水用に床のかさ上げ工事が必要です。クロスやライト、パーティション。こだわりたいところはたくさんあるでしょう。また、入口や外装の看板デザインは歯科医院のイメージを司る大事なものです。信頼のおける業者、数社に見積を取って比較検討することが大事です。   ③    医療機器・設備費 医療機器や設備費では2,000万円以上になります。 医療機器はグレードによって価格が変動します。歯科診療ユニットは複数台必要ですし、それに伴ってエアーコンプレッサーやバキュームシステムも必要でしょう。仮に500万円の診療ユニットを3台設置した場合、エアーコンプレッサーとバキュームシステムで100万円。それだけで1,600万円になってしまいます。エックス線機器は近年デジタル化されていますので1,000万円以上と高額です。医療機器は他にもありますので予算に合わせた選定が必要です。他にも待合室、トイレ、キッズコーナーなどの設備も考えなくてはなりません。さらに電子カルテやWEB予約システムを導入するなら、メンテナンスやサポート料などの月額使用料が加算されます。   ④    広告宣伝費 インターネットを利用した広告や新聞折り込み、ポスティングやフリーペーパー。幹線道路沿いの広告看板。それぞれ広告にはさまざまな規制があります。それらを考慮し効果的な宣伝をしていかなければ集患できません。ホームページ制作も同時に行います。今やホームページはクリニックに必要不可欠です。近隣の歯科医院を探すとき、多くの患者さまが検索し口コミをチェックします。わかりやすく明るいイメージのページ作りを心がけるといいですね。併せて求人募集も行うとなれば、その広告費も掛かります。さらに内覧会を開くとなればその準備にも予算が必要です。少なくとも300万円以上を見込んでおきましょう。   ⑤    歯科資材・消耗品 治療器具は患者さまごとに消毒、交換する必要があるので数10セット必要ですし、マスク、グローブなどの消耗品はある程度ストックしておく必要があります。また、新型コロナウイルス対策用に消毒液や検温器の準備も必要になります。ただし消耗品はコストを抑えられる費目ともいえます。当初は200万円ほどみておき過剰在庫にならないよう在庫管理を徹底する、さらに少しでも単価が抑えられるよう定期的に価格調査を行っていくことも重要です。   ⑥    人件費などの運転資金 開業からすぐに大勢の患者さまが押し寄せるということは極稀で、実際は経営が軌道に乗るには数か月を要します。診療報酬が支払われるのも2か月ほど先になりますので、保険診療や自費治療の窓口負担分だけの収入になります。そのため安定した集患が見込めるまで数か月分の人件費や光熱費を払うための運転資金が必要です。忘れてはいけないのが開業されるあなたの生活費。運転資金の目安は1,000万円と言われていますが、余裕があればあるほど資金繰りに困ることなく経営ができます。雇ったばかりのスタッフをすぐに手放すことのないよう、事業計画・資金計画はしっかり練っておかなければなりません。   まとめ 開業に必要な資金を大まかに説明しました。設備投資に5,000万円以上かかるということは、さまざまな融資を受ける方も多いでしょう。融資を受けるにも審査があり、自己資金がいくらあるかも重要です。あれこれこだわりたいところですが、それぞれの費用をシビアに見積もり事業計画を立てなければ経営が破綻してしまいます。コンビニエンスストアよりも歯科医院が多いと言われる時代です。そこで生き残り患者さまに支持される医院であるためには、自分だけでなく専門家の意見も聞き無理のない資金繰りをしなければなりませんね。

歯科医院における院長のお仕事(経営数値)

2021.4.01

「毎月、売上、自費率、新患数など経営数値を把握し、その対策をしていますか?」 もし、医院の経営数値をデータ化し定期的なチェックをしていない場合は、1日も早く経営数値を把握(計測)することから始めましょう。基本的な数値は、アポイントツールやレセコンで把握できる数値と、受付スタッフと協力して把握しなければならない数値があります。 「院長として知っておきたい毎月最低限の把握すべき経営数値は?」 【毎月確認すべき経営数値!】 売上関係 ・売上 ・累計売上 ・保険売上(外来、訪問) ・自費売上 ・自費内訳(診療科目別の売上と件数) ・雑費売上   患者動向 ・延べ来院数 ・診療日数 ・1人あたり平均通院回数(=延べ来院数/外来レセプト枚数) ・1日平均来院数(=延べ来院数/診療日数) ・レセプト枚数(外来、訪問) ・平均レセプト単価 ・再初診数 ・再診数 ・治療終了者数 ・自費患者数 ・新患総人数 ・来院経路調査(初診アンケートなど) ①知人からの紹介 ②家族からの紹介 ③ホームページを見て ④看板を見て ⑤自宅・会社から近いから ⑥通りがかり ⑦その他 ・リコール率、リコール患者数 ・総予約数 ・急患数 ・急患率(=急患数/総予約数) ・当日TELキャンセル数 ・無断キャンセル数 ・キャンセル率(=TELキャンセル数+無断キャンセル数/総予約数) ・ユニット1台あたり生産性 ・スタッフ(人)1台あたり生産性   【経営数値の指標】 ・1人あたり平均通院回数(=延べ来院数/外来レセプト枚数) ●2.1~2.3回が理想 1.7回以下/予約が取りづらいと感じている可能性高 2.5回以上/治療回数が多いと感じている可能性高 ・外来レセプト枚数 ●ユニット1台あたり120枚 3台であれば360枚/月 150枚を超えると、かなり院内が忙しい状況といえます ・平均レセプト単価 ●東京都の平均1,158点/枚( レセプト1件当たりの平均点数 ) 令和2年度東京厚生局データより ・新患総人数 ●ユニット1台あたり10人 3台であれば30人/月 全国平均では Web:紹介:その他=5:3:2 ・キャンセル率(=TELキャンセル数+無断キャンセル数/総予約数) ●まずは10%以下 理想は5%以下 ・ユニット1台あたり生産性(=売上/ユニット台数) ●当初目標200万円/台 理想250万円/台 ユニット3台であれば600万円/月 ・スタッフ(人)1台あたり生産性(=売上/常勤換算人数) ●当初目標125万円/人 理想150万円/人 5人であれば625万円/月 以上、あくまでベーシックな経営数値ではありますが、 まずは上記経営数値を掌握することで、ベーシック基準数値と比較して 医院状態を的確に判断することが重要となります。 もし上記のベーシックな平均数値と比較して、 足りない部分がある場合にこの指標に近づくための施策を、毎日、毎月考えてアクションすること、 すなわち院内でPDCAを回すことが必要となります。 あなたの医院に朝礼や終礼があるのであれば、 目標数値を明確にして全員に伝えることができればより有効でしょう。また、慢性的に足りない部分が生じた場合は、生産性の数値を参考にして、ドクターや受付スタッフの予約の取り方、治療タイム、患者さんの流れなどを見直しましょう。 当社デンタルサービスでは、医院の数値を分析し、あなたの医院の足りていない部分を指摘する 『歯科医院 経営状態ドック』を行っております。

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