歯科開業レポート

運営・経営

歯科医師も気を遣う:銀歯の高騰と診療費の改定

2022.9.25

ロシアによるウクライナ侵攻により、銀歯の材料費は値上がりし、日本でも治療費が引き上げられることになりました。また、最近は銀歯以外の材料費も高騰しており、自費診療費の改定も相次いでいます。 このような状況下で歯科医院の開業をするのは大変かもしれませんが、どのように対処したら患者に喜んでもらえるのかについて考えてみましょう。   患者にとっても負担増になる季節が来た 歯科受診の際に気になるのが費用。歯科治療費用は思いのほか高額になることがあり、患者にとっても頭の痛いところです。 ところが、ただでさえ負担になりやすい歯科治療の費用で値上げの動きが相次いでいます。どのような動きか、2点ほど取り上げてみましょう。   銀歯の治療費が値上がり 銀歯に使用される歯科用貴金属はパラジウム合金といい、パラジウムの配合率は20%です。パラジウム産出国はロシアで、シェアの約4割を占めます。 ところが、ロシアによるウクライナ侵攻の余波で、パラジウム合金が供給不足になっていて、高騰しています。高騰に伴って歯科医院の仕入れ価格も上昇していますが、公定価格がそれに合わない状況になっていました。 2022年4月に施行された令和4年度診療報酬の改定において、「歯科用貴金属の素材価格変動を踏まえ、変動幅に関わらず、素材価格に応じて年4回改定を行う」等の見直しを行うこととなりました。 これを受け、直近では2022年5月に緊急改定、2022年7月に随時改定が行われ、2022年10月、2023年1月にも改定が予定されています。 直近ではパラジウム合金の高騰により歯科用貴金属の引き上げが緊急改定で2022年5月に、随時改定で2022年7月に行われています。 参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000928336.pdf 大臼歯のFMCを一例に挙げると下表のように改定され、3割負担の患者では負担金が800円以上も引き上がり、なんと5,000円を超えることとなりました。 〜2022年3月 約4,480円 2022年4月〜 約4,690円 2022年5月〜 約4,970円 2022年7月 約5,290円 ※3割負担の場合   銀歯の治療について 銀歯が高騰しても保険診療で費用を抑えたいと仰る患者さまは多くいらっしゃいます。 患者さまに分かりやすく説明するためにもポイントをおさらいしておきましょう。   保険適用の銀歯で使われる材料 保険適用で銀歯に使われる材料は、次のようなものです。 ● パラジウム合金 ● アマルガム ● コバルトクロム合金 パラジウム合金は12%の金に銀や銅、パラジウムなどを合わせたもの。詰め物や被せ物に使います。まず型取りをして作製したら、虫歯のあった場所にセメントで装着します。 次はアマルガムですが、現在ではほとんど使われません。理由は水銀が含まれているから。人体に害があるのでため使われないのですが、セメントなしで装着できることから、劣化がしにくいという特徴があります。 コバルトクロム合金は入れ歯の留め具に使われる材料。とても硬く丈夫なので、入れ歯をしっかり支えます。 価格が高騰しているパラジウム合金について、メリットやデメリットを挙げてみましょう。   パラジウム合金のメリット パラジウム合金のメリットは次のようなものです。 ● 保険適用 ● 硬くて割れにくい ● 細部を再現しやすい パラジウム合金の銀歯には保険が適用され、比較的安価に治療ができます。患者様にとっても負担が軽く、提案がしやすい材料です。 詰め物では2,000円~2,500円くらい、被せ物でも3,500円~4,500円くらいで治療が終わります。治療期間は約1~2週間で、治療回数は2~3回です。神経の治療が含まれる場合は、治療回数・期間・費用ともに増えます。 次に、パラジウム合金の銀歯は硬くて割れにくく、耐久性もあります。一度治療すると長持ちし、当面は患者も通常の生活を続けられます。大きな銀歯をはめ込んでも、割れることはまずありません。 細部を再現しやすいのもパラジウム合金の銀歯の特徴。銀歯を作るときはワックスでしっかり型取りをするので、元の歯に近い形態を再現することができます。 ※掲載価格は、令和4年9月現在の価格です。詳細については、厚労省からの関連する告示・通知等をご確認ください。   パラジウム合金のデメリット 続いて、パラジウム合金のデメリットです。以下のようなデメリットがあります。 ● 見た目がいまいち ● 変形することがある ● 金属アレルギーになることがある ● 歯石や歯垢が付きやすい パラジウム合金の銀歯は見た目が悪いという欠点があります。通常銀歯は臼歯などにはめますが、口を大きく開けたとき、口が大きい方などは、銀歯が目立ってしまいます。 変形することがあるのは困りもの。変形部分からまた虫歯になることもあります。また、変形によってかみ合わせがずれると、不快な思いもしやすいです。 金属アレルギーについては可能性があるというだけで、実際にはそのような症例はあまりありません。それほど気にしなくてもいいデメリットでしょう。 銀歯は金属製なので、静電気が起こりやすいともいえます。その静電気が歯石や歯垢を呼び寄せ、付着することもあるようです。歯石や歯垢は歯周病の原因にもなりますから、患者様にそのような状態がある場合は、除去してあげましょう。   自費治療の改定をする歯科医院が続出 自費治療の改定をする歯科医院も最近増えています。改定といっても安くなるわけではなく、高くなるのですから、これも患者にとっての負担増です。 改定の理由は、消費税増税、金属・技工物・材料費の高騰によるものだとしているケースが多いです。 保険治療だけで済ませようとしている人にとっては関係ないことかもしれませんが、自費治療でより高度な技術を適用してほしいと思っている患者には痛手になります。 ただでさえ高い自費治療なのに、それが値上がりともなれば、利用自体を躊躇する患者も増えるかもしれません。   自費治療をすすめるべきか? 自費治療費を改定する歯科医院が増えていますが、そもそも自費治療を患者にすすめるべきでしょうか。考えてみましょう。   自費治療のメリット まずは自費治療のメリットです。 自費治療では、耐久性に優れた最先端の補綴物を装着することができます。汚れもつきにくく、見た目もよく、変色もしにくいです。 噛む機能においてもしっかりしていて、違和感がありません。   自費治療のデメリット 自費治療のデメリットはやはり費用が高いこと。保険治療では3割負担ですが、自費治療なら10割負担です。患者様にとっては重い負担になりやすいです。 次に、同じ自費治療でも歯科医院により内容や料金に差があります。導入している設備や歯科材料価格、歯科医師の技術も同じでないこと等を考えた治療費を設定する必要があります。   自費治療を勧める場合に大切なこと 患者様に自費治療をすすめる場合は、どのような治療にどのくらいの費用と期間がかかるのかについて明確にし、患者様の納得が得られるまで誠意を尽くして説明することが大切です。   まとめ 2022年に入ってから、歯科材料費の値上げや診療価格改定等のニュースが相次いでいます。 歯科医院の開設を予定している方は、患者様の負担が増えることに配慮しつつ、適切な治療を行えるように準備しておく必要があります。 そこで、この記事では銀歯治療のメリットやデメリット、自費治療のメリット・デメリットなどもご紹介しました。ご参考に、一人ひとりの患者様にとって、より良い治療法をご提案いただけたらと思います。

オンライン資格確認の導入を原則義務付けへ

2022.8.25

歯科医院はどう対応すべき? 2023年4月から健康医療機関・薬局へのオンライン資格確認の導入が原則義務付けされます。そこで、この義務付けの理由、導入にかかる費用、課題などをまとめてみます。 特に新しく歯科医院を開業する場合に、どのような意味を持つことなのかも考えてみましょう。   オンライン資格確認の導入が義務付けされる理由 オンライン資格確認の運用は2021年10月に始まり、すでに導入している医療機関や薬局、歯科医院などもあります。厚生労働省としては2023年3月末までにすべての機関での導入を目指していて、そのために2023年4月から導入を義務付けする方針を示しました。 では、なぜ2023年4月までに導入を推し進めるのか、その理由を見てみましょう。 理由1.事務作業を削減するため これまでは、医療機関や歯科医院で診療を受ける際や調剤薬局で処方薬を受け取る際は、健康保険証を提示していました。 しかし、健康保険証の提示では、期限切れの保険証による過誤請求や手入力による手間など、事務方の負担も大きかったのです。それがオンライン資格確認の導入により大幅に軽減されるので、医療機関や薬局、歯科医院でのメリットも大きく、導入を義務付けることにしたのです。   理由2.薬剤情報や特定健診などの情報を閲覧できるようになる マイナンバーカードを使って本人の同意を得ると、医師・薬剤師・歯科医師などは薬剤情報や特定健診の情報を閲覧できるようになります。 そうなれば、薬剤情報や特定健診などの情報を踏まえた診療・治療も可能に。過去の状況がわかることで、適切な医療行為を行えるようになります。 例を挙げてみると、特定健診で行われた血液検査や尿検査の結果を閲覧できれば、再度医療機関で検査をし直す必要もなくなるでしょう。また、歯科医院でも患者の体質に合った治療を行えるようになります。 医療行為が正しく行われるようにするためには、これらは非常に重要なことから、厚生労働省がオンライン資格確認の導入を義務付けしたのです。   理由3.保険資格の事前確認ができる 保険資格は、来院した時に提示された健康保険証で確認していますが、オンライン資格確認を利用すると通院中の来院予約した患者様については、事前に確認ができるようになります。 これにより、適切な対応をすることができるようになるでしょう。   理由4.患者が簡単に限度額情報を取得できる 医療費が高額になった場合は、限度額以上は支払わなくていいのですが、そのための申請方法がこれまでは面倒でした。 オンライン資格確認の導入が行われると、申請がなくても限度額情報の取得ができるようになり、患者は窓口で限度額以上の医療費を支払う必要がなくなります。 歯科医院の治療では医療費が高額になることがあり、患者も医療費の限度額を知りたくなりますが、その情報がすぐに取得でき、必要以上の支払いをしないで済めば、とても助かるでしょう。   オンライン資格確認の導入方法と費用 すでにオンライン資格確認を導入している医療機関や薬局、歯科医院もありますが、まだ数は少ないです。大半の機関はこれからとなるでしょうから、導入方法や導入にかかる費用を紹介します。 オンライン資格確認の導入方法 オンライン資格確認を導入するための手続きの流れを見ておきましょう。 1. 「医療機関等向けポータルサイト」でアカウント登録 2. 顔認証付きカードリーダーを選んで申し込みをする 3. システムベンダーに見積もりをしてもらって、発注 4. ポータルサイトでオンライン資格確認の利用申請をする 5. 機器を受け取り、設定をする(システムベンダーにて設定) 6. システムベンダーにてテストをする 7. ポータルサイトで運用開始日を登録 8. 受付業務の変更点などを確認する 9. 患者向け周知物を準備・掲示 10. 窓口でオンライン資格確認を開始する オンライン資格確認導入対応業者の問い合わせ先は以下で確認してください。 PDFファイル(3/11).pdf オンライン資格確認に係る導入支援サービス提供業者については以下を参照してください。 PDFファイル(3/11).pdf オンライン資格確認を導入する費用 オンライン資格確認の導入費用は、各医療機関・薬局・歯科医院のシステム導入状況、ネットワーク環境、ネットワークベンダーが設定している料金体系などによって変わるので、一概にこうだとは言えません。 ただ、おおよその目安は示すことができます。   ▼費用目安 項目 費用目安 資格確認端末関係 14.1~23.8万円 ネットワーク設定作業など 3.7~13.4万円 院内ネットワーク関連機器 1.1~8.3万円 レセコン等の既存システムの改修に係るパッケージソフトの購入及び導入 8.9~24.7万円 参照元:「オンライン資格確認等システムの導入費用に係る留意点」より オンライン資格確認の導入にあたって利用できる補助金制度もあります。まず、顔認証付きカードリーダーは、病院では3台まで無償提供になり、薬局・診療所では1台が無償提供です。 その他の補助金については表にまとめてみましょう。   ▼オンライン資格確認の導入における補助金 病院 病院 病院 大型チェーン薬局 診療所/薬局(大型チェーン薬局以外) 1台導入の場合 2台導入の場合 3台導入の場合 — — 105万円を上限に補助 ※事業額の210.1万円を上限にその1/2を補助 100.1万円を上限に補助 ※事業額の200.2万円を上限にその1/2を補助 95.1万円を上限に補助 ※事業額の190.3万円を上限にその1/2を補助 21.4万円を上限に補助 ※事業額の42.9万円を上限にその1/2を補助 32.1万円を上限に補助 ※事業額の42.9万円を上限にその3/4を補助 参照元:「オンライン資格確認の導入で事務コストの削減とより良い医療の提供を~データヘルスの基盤として~」より ※2023年3月末までに補助対象事業を完了させ、2023年6月末までに補助金交付申請をすることが条件です これから歯科医院の開設を考えている人の場合、右側の診療所の補助金が対象になります。   オンライン資格確認の導入義務付けにおける課題 オンライン資格確認導入義務付けに伴う課題も浮き彫りになっています。どのような課題か確認してみましょう。 まだ導入が進んでいない 2022年1月27日、第150回社会保障審議会医療保険部会の発表した資料によると、顔認証付きカードリーダー申込施設数は全体の56.7%になっていますが、準備完了施設は15.7%、運用開始施設は10.9%にとどまっています。 2023年4月のオンライン資格確認導入義務付けまで期間はあまりありませんが、いかに加速させていくかが今後の課題です。   初期費用が補助金の上限額を超える場合がある オンライン資格確認導入の初期費用が補助金の上限額を超える場合があります。これは小さな診療所や歯科医院などにとっては大きな負担になりやすく、導入を進めにくい状況にもなっています。 新たに歯科医院を開設する者にとっても気になる問題です。   ランニングコストがかかる オンライン資格確認の導入では、初期費用とともにランニングコストもかかります。事務作業が簡素化される点は医療機関や薬局、歯科医院にとってもありがたい点ですが、その分ランニングコストも手作業よりも高くつきます。 義務付けされたら、ランニングコストがかかっても導入しないわけにはいきませんが、各医院の負担を軽減させるにはどうすればいいか、これも課題です。   セキュリティ対策が不安 オンライン資格確認では、外部ネットワークとの接続を前提にしたシステム運用が行われます。そのため、サイバー攻撃などのセキュリティ上のリスクを抱えることになります。情報漏洩の心配もあるでしょう。 それだけに、各医療機関や薬局、歯科医院のセキュリティ対策をどのようにサポートしていくかが今後の課題です。 まとめ 2023年4月までに導入が義務付けされたオンライン資格確認の導入。導入すれば、医療機関や薬局、歯科医院だけではなく、患者様にもメリットがあります。 それだけに厚生労働省も義務付けという方針を打ち出したのですが、導入にあたっては課題も浮き彫りになりました。今後はその課題をどう解決していくかが焦点になってくるでしょう。 これから歯科医院を開設する人はオンライン資格確認を必ず導入することになるので、課題や問題点を確認しながら、スムーズに導入を進めていただければと思います。

国民皆歯科健診について

2022.7.25

~実施はいつから?問題点と現在日本で義務付けられている歯科健診について~ 2022年6月7日に経済財政運営の指針「骨太の方針」の中に「国民皆歯科健診」を取り組み、進めていくことが示されました。 歯科界でも様々な声が上がっている「国民皆歯科健診」について、開始時期やなぜ行うのか、また問題点、現在義務付けられている歯科健診も交えながらお話を進めていきます。 「国民皆歯科健診」はいつから開始されるのか? 2022年7月現在、「国民皆歯科健診」の具体的な開始時期はまだ決まっておりませんが、日本歯科医師会の堀会長は3年から5年を目途に実現したいと述べております。 なぜ、「国民皆歯科健診」が導入されたの?と国民の皆様は疑問に思っておられるのではないでしょうか。 日本は30歳以上の成人の約80%が歯周病に罹患しているとの報告があり、歯に関する知識や関心も先進国であるスウェーデンやアメリカに比べると圧倒的に低いと言われております。 また、歯周病は糖尿病や脳血管疾患などの全身疾患との関連性があるため、お口の健康の維持・増進が全身疾患の予防にもつながるということを、広く国民の皆様に知っていただき、 「歯科医院を虫歯や歯周病になってから行くのではなく、歯・お口のケア・予防で来院していただく場所に変えていく」 ために今回「国民皆歯科健診」を導入するのではないか、と考えます。 加えて実施主体、健診内容、費用もまだ決まっていないため、今後の情報に注目したいところです。 歯科医療現場での歯科衛生士の不足が問題に! 「国民皆歯科健診」を開始するのにあたり、現場での歯科衛生士不足が問題になるのではないかと予想されます。 実際、令和2年に厚生労働省から発表された歯科衛生士の就業人数を年齢階級別にみると、「25~29 歳」に1番多いとのデータがありますが、結婚・出産を機に離職をする歯科衛生士が多く、一般歯科医院では歯科衛生士不足が問題となっているところが多いようです。 「国民皆歯科健診」の具体的な内容がまだ決まっておりませんが、歯周病のチェックを行うことを目的とした歯周基本検査等を行うのであれば、歯科衛生士が行える業務の範囲であるため、歯科衛生士不足は、「国民皆歯科健診」を受けにきた患者様を対応していくにあたり、歯科医院を円滑に経営していく中でぶつかる壁になるのではないでしょうか。 また、このような歯科衛生士不足を解消するために、歯科医院に託児所を設ける、総合病院や歯科大学付属病院といった大きな組織だけでなく、一般歯科医院においても復職しやすい制度を設けていく必要があるでしょう。   現在義務付けられている歯科健診と? 今回「国民皆歯科健診」が発表されたことで、現時点で義務付けられている 歯科健診はあるの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 現在日本で義務付けられている歯科健診は、 妊産婦に対する健康診査、 1歳6ヶ月・3歳児健康診査、 小学生から高校生を対象とした歯科健診、 塩酸、硫酸等の有害なガス、または有害な粉じん等を使用、これらの物質が存在する環境に従事している職業の方 のみとなっております。 また、努力義務である歯周病検診の受診率は低く、成人以降の義務歯科健診がないことから、日本人の歯周病罹患率が高くなっているのだと思われます。 このような状況を改善していくために歯科医療従事者が患者様にアプローチし、年齢関係なく、お口の健康を増進していくために「国民皆歯科健診」が提案されたのではないでしょうか。   まとめ 今回「国民皆歯科健診」の概要、実施にあたり発生すると予想される歯科衛生士不足の問題、現在義務付けられている歯科健診についてお話していきました。 「国民皆歯科健診」は現在日本の歯周病罹患率の高さ、デンタルIQの低さを解消・改善するためにとても重要な政策だと思われます。 我々歯科医療従事者が、患者様のお口の健康を守っていくために更なる知識と技術を身に着け、広く呼びかけていきましょう。   <参考> https://www.jacp.net/perio/effect/ https://www.jacp.net/perio/about/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/18/dl/kekka2.pdf

歯科医院の人材採用

2022.6.20

人材採用の現状 医療スタッフの人材確保が難しい状況であることは歯科業界においても例外ではありません。歯科医師や歯科衛生士など資格が必要な人材はもとより、歯科助手や受付であってもスキルが高いスタッフの雇用は困難を極めます。また、歯科医院自体が増加傾向にあり求人も多く、他の医院との差別化を図ることは難しくなっています。地域によってはパートさえ集まらないところもあるため、人材確保は事業を継続するうえでも重要な問題となってきます。特に歯科衛生士については、一人の求職者に20の歯科医院がオファーしているというデータもあり、超売り手市場です。また歯科衛生士は転職率も高く、苦労して採用した衛生士も職場の環境によってはすぐに転職してしまう恐れもあり人材確保が厳しい状況です。さらに歯科衛生士の資格を持ちながら離職している人が約15万人いるとも言われています。歯科衛生士の有資格者の多くは女性です。女性が働きやすい職場環境を整備することで、スタッフの定着が図れると言っても過言ではありません。一方歯科助手は資格がいりませんが、業務の幅が広く未経験であれば一から育てる覚悟が必要です。業務内容の割に給与面の待遇が見合わず不満をもつ歯科助手も多いと聞きます。いずれにしてもスタッフに長く働いてもらうためには職場環境を整備していくことがカギとなります。   人材募集の方法 自院のホームページで求人募集をする 今やどこの歯科医院でもホームページは必ず制作しています。簡単に安価で多くの患者さまにアピールできるからです。求人募集も例外ではありません。ただし、アクセス数が多くなくては誰の目に留まることもなくただ載せている状態になってしまいます。簡単ではありますが、実は効果が感じられないことも多いのです。しかし他の求人サイトから自院のホームページを訪れた求職者に対しては、医院の内部をアピールできる重要なツールになります。患者さまだけでなく求職者も見ていることを考えてホームページは制作しましょう。   歯科関連の学校に求人を掲載する 歯科関連の大学や専門学校に求人票を出すことは、コストもあまりかからず学生にとっても就職先を探す手間が少なく双方にとってよいことになります。しかし多くの歯科医院が新卒の歯科衛生士を求めて求人票を出しており、とある専門学校では40人の卒業生に対し700にも及ぶ医院からの求人票が出されたそうです。新卒を育てたいという強い思い、立派に育てられる環境であることが重要であり開業したてのクリニックに来てもらうには少しハードルが高いかもしれません。しかし、クリニックの成長と共に新卒者も成長したいという思いが合致すれば採用も夢ではありません。   WEB媒体への求人掲載 医療系の求人サイトや求人検索エンジンは求職者にはハードルが低くすぐに検索できるメリットがあります。しかし、日々求人が更新されており自院の求人が埋もれてしまうことも多いのです。短時間の閲覧で効果的にアピールするにはどうしたらよいか、戦略を練る必要があります。   求人折り込み広告や業界紙への求人掲載 求人折り込み広告や求人誌は、地元に強みがあります。遠方から通うスタッフだけでなく、近隣から通ってくるスタッフがいると何かトラブルが起きた際に心強いものです。また、業界紙に求人を載せることは、求めるスタッフ像と求職者とのミスマッチが防げるというメリットがあります。   歯科専門の人材紹介サービス 歯科業界に特化した人材紹介サービスを利用すれば効率よく求職者とマッチングすることができます。事前に双方の情報と適正を把握し採用することが可能です。 効果的なポイント 求職者が何を求めているか、どのような環境が理想かを把握することが一番です。それは求職者だけでなく、自院を運営していくにあたって大きな強みとなりひいては患者さまの満足度につながります。 ホームページがあることで院長の人柄や医院内の雰囲気を知ることができます。また、院長がかかげる診療方針に共感できるかは重要なファクターとなります。面接に来てもらえれば診療方針を具体的に説明することは可能です。しかし、それに至るまではホームページなどの媒体からのみの情報を頼りに求職者は応募先を探します。待遇面はもちろん、休日や残業の有無、研修や教育制度の充実などは比較の対象になりやすいです。応募者に具体的なキャリアプランを提示できるかも、よい人材に定着してもらううえで重要です。

安定した歯科医院経営

2022.6.13

歯科医院を開業した後も、軌道にのって長期的な運営をしていくためには注意すべきポイントがいくつかあります。以下では、安定した歯科医院経営をするための方法を説明していきます。 開業してからどれぐらいで安定するのか 経営を安定化させ、理想の診療所を作っていくためには、経営計画や事業計画を練ることはもちろん、新規患者の獲得や診療所の運営状況を定期的にチェックする必要があります。 安定した経営のためにはPDCA(Plan - Do - Check - Action)サイクルを回していくことが望ましいです。PDCA(Plan - Do - Check - Action)とは、「計画」「実行」「評価」「改善」を示しており、意識して事業の見直しを行うことで、事業改善を進めていくことができます。1周したら次の改善点に向けて新たな計画を立て、確実に改善していく様に働きかけることが可能です。 それに伴い、企業の成長ステージと同じ様に成長ステージを把握し、成長ステージに応じた施策を練る必要があります。「開業期」「成長期」「安定期」に分けて考えることもできます。 ①開業期(開業1年目まで) 新しい顧客の獲得が何よりも大切。来ていただいたお客様に良い印象を持ってもらい、口コミで広めていくことはもちろん、土日の診療や夜間対応、他の医院で取り入れられていない治療法の導入など、より多くの人に新しく利用をしてもらえるために他の医院と差別化をはかると良いでしょう。 ②成長期(開業3年目まで) この時期は顧客を安定させることが重要なため、一度来院された方に「また利用したい」と思ってもらえる様に丁寧な対応と確実な治療は必須となります。 もし、思う様に認知が広まらない様であれば、キャンペーンや歯磨き教室の実施、SNSの導入なども検討し、新しい患者様を獲得できる様にPDCAサイクルを回していきましょう。 ③安定期(開業3年目以降) 3年目ともなると、地域からも認知されて定期的に通われる方も増えているかと思います。開業期や成長期で患者様のニーズがなんとなく把握できていると思いますので、ターゲット層を明確にし、他の医院との差別化をはかり、施術の幅を広めていきましょう。理想とする医院の像をしっかりと描き、実現するためにPDCAサイクルを回し続けましょう。 どうすれば安定するのか 歯科医院を長期にわたって経営していくためには、収益の確保だけでなくさまざまな施策が必要です。安定した経営のためにも定期的な点検は必ず行いましょう。 ①診療サービスの質の良さ まず医療機関として確実な診療がされていることは大前提です。なるべく痛くなく、親切な対応で、安心して治療が受けられる環境が整っているか、治療方法を提案できているか見直しましょう。患者様に安心して利用してもらえるために、技術力と対応力は磨き続けましょう。需要の高い治療を取り入れたり、低いコストで治療できるように配慮をすることが、患者様からの信頼獲得に繋がります。ニーズの把握をするために、患者様へのアンケートを実施することも有効でしょう。 ②スタッフの労働環境 患者様の獲得はもちろんですが、スタッフが安心して働ける環境作りも非常に重要です。人員不足で待ち時間が長くなり、連携体制がとれずにミスが発生することも患者様の離脱に繋がります。適正なスタッフ数とスキルを明確にし、確実な人員確保を目指しましょう。 ③広告やWEBサイトの最適化 患者数を増加させるためには、広告の運用やホームページの充実なども必要となることがあります。広告看板を出している場合は、風景化しないためにも定期的に変更すると効果的です。ホームページについても、最新の情報が掲載されているか、予約がとりにくくないかなど、定期的に見やすいサイトとなっているか確認をしましょう。 ④患者様の印象を良くする 内観や外観を整えることはもちろんですが、待ち時間の短さや丁寧な説明なども印象アップには大切なポイントです。治療方法を丁寧にお伝えし、麻酔をするか、通院回数や予算なども患者様の意志を尊重しながら治療をすることで、「ここの医院は安心できる」という信頼を獲得できます。 以上、安定した歯科医院経営について説明しました。長く経営をしていくためには、認知度の向上と利用者の満足度が絶対条件となります。患者様に安心して通っていただけるよう、医院の体制を定期的に見直していきましょう。

歯科医院開業 物件契約するときの注意点

2022.6.06

物件契約時のポイント、注意点 新規に開業するにあたっては、多くの方が物件を探して契約をするかと思います。まずはどのような物件があるか、それらの物件の注意点を説明していきます。 【テナント物件】 オフィスビル、商業施設の一画、クリニックビルなど店舗物件を総称して「テナント物件」と言います。駅前やショッピングモールなど集患しやすい環境で、物件数も多く気に入ったものを見つけやすいというメリットがある一方で、利便性の高いところは賃料も高額になります。賃料が高額になれば初期費用もその分上乗せされるため、資金計画にも影響がでます。 【借地契約】 土地のみを借りて建物を開業者が建設する契約です。内装にこだわりたい、郊外の広い土地で開業したい、駐車場を広く取りたい場合などが考えられます。借地契約の場合、契約期間が長いことが多く簡単に撤退することが難しくなります。また、契約期間終了後は更地にて返却しなくてはならず解体費用についても考えておかなければなりません。 【新築物件】 自宅兼診療所のように、戸建てを新築し開業する物件です。診療スペースなど一から自分の理想とするデザインにできるところが最大のメリットです。その反面、建築費用がかさむことや住宅地などでは集患も一から行わなくてはならず、診療が軌道に乗るまでに時間がかかることも考えられます。 【スケルトン物件と居抜き物件】 スケルトン物件とはコンクリート打ちっぱなしの何もない状態の物件を言い、ゼロからレイアウトが可能です。自分の理想に合ったクリニックにすることができますが、その分費用もかかります。居抜き物件とは前入居者が使用していた内装、設備がそのまま残っている物件です。通常であれば賃貸物件から退去する際に、原状回復(借りる前の状態)にして明け渡すものですが、同業種の場合には内装、設備を残置したまま居抜き物件とする場合があります。 【居抜き物件のメリット・デメリット】 居抜き物件の最大のメリットといえば「開業費用を抑えることが可能」であることです。内装や設備をそのまま譲り受ければ、開業までの日数の節約にもなります。高額な医療機器も新規で購入するより安価で入手が可能になります。 さらに、歯科医院があった場所に開業することで患者をそのまま引き継ぐことができる可能性が高いことも魅力です。 とはいえメリットばかりではありません。医療機器の購入費用を抑えられる一方で、中古であるがゆえ、メンテナンスの費用がかさむことも考えられます。使用年数が長く使い勝手が悪く故障が続けば、結局買い換えなければいけないという場合もあるからです。内装もそのままとなれば、自由度は低くなります。不便さは慣れる場合とストレスになる場合があります。また、閉院理由も調べなければなりません。前院長から理由を聞くこと。そして地域の方に評判を聞いてみることも大事です。同じ場所に開院することで、前の悪い評判も引き継いでしまっては元も子もありません。安易に居抜き物件に飛びつくのではなく入念にリサーチしましょう。 【駐車場】 ショッピングモールなど駐車場完備の物件であれば問題ありませんが、駅前のビルなどは駐車場の確保が課題となります。最近では近隣のコインパーキングと提携しているクリニックが増えています。お子さま連れの場合、駐車場があるかどうかは重要なポイントになります。ビルが提携している駐車場があるかなど物件を決める際には必ず確認しましょう。 物件契約時にどんな費用が必要? 【物件に対する費用】 テナント物件を借りる場合の初期費用について簡単に説明します。テナント物件は一般の賃貸物件よりも初期費用がかかります。 保証金や敷金・・・賃料の担保として賃料の6~10ヶ月分必要なところが多いようです。 礼金・・・物件のオーナー様へのお礼として賃料1ヶ月分ほどが相場です。 仲介手数料・・・不動産会社へ払う手数料です。賃料1ヶ月分ほどが相場です。 ※他に前賃料・保険料・保証会社契約料などがかかります。 契約後、内装工事や外装工事が完了して初めて保健所へ「開設届」が申請できます。つまり開院まで2~3ヶ月ほど患者さまを受け入れられないまま賃料が発生するのです。賃料は毎月かかる固定費です。他の必要経費とのバランスを長期的なスパンで考え、物件探しをしていきましょう。 【内外装工事にかかる費用】 歯科はクリニックの内装で一番費用がかさむといわれています。電気設備や給排水設備、診療台ごとのパーティションなど特殊な工事が必要なものも多く、かといって予算を削ってしまうと使い勝手が悪くなり後悔することになってしまいます。 内装工事費の坪単価は坪35~50万円ほどのようです。床面積が狭くなれば坪単価は高くなり、広くなれば坪単価は低くなります。おおよそ1,500万円~2,000万円と言われていますが、こだわりの内装や医療機器を入れるためには綿密な資金計画が必要です。

歯科開業医の年収

2022.5.30

日本のサラリーマンの平均年収は平均432万円(国税庁「平成29年 民間給与実態調査」)と言われています。対して一般的な歯科医(勤務医)の平均年収は平均823.9万円(「平成30年 賃金構造基本統計調査」)です。病院の規模や役職によって変動しますが、高収入であることは確かです。 一方、開業医と勤務医の年収はどれだけ差があるのでしょうか。医師である以上、開業医か勤務医かどちらかを選択しなくてはなりません。勤務医である場合、病院の規模によっては1000万円を超える場合もありますが、歯科医院を開業した場合、平均年収は643万円と低いデータもあります。歯科医院は全国的に供給過多の状況にあり、人口の多い地域であっても患者さまの取り合いになります。しかし、令和元年10月の時点で、全国の歯科医院は「68500施設」で前年より113施設減少しています。令和3年1月の概数では「68024施設」で大幅減です。(厚生労働省 医療施設動態調査 令和3年1月末概数 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m21/is2101.html)シビアな状況であることには変わりません。開業したエリアによって思ったように集患できなかった場合、思うように収入が見込めない可能性もあります。 開業医と勤務医の違い 勤務医は配置されたその日から治療に当たれます。経営に頭を悩ませることなく治療に専念し、十分な給与を貰うことができます。役職に就けば高収入も可能です。しかし開業となれば5000万円を超える高額な初期投資が必要ですし、開業してからも金融機関への返済、人件費や家賃などの固定費、設備のメンテナンス費など毎月様々な費用が発生します。歯科医院を開業し、順調に経営していくことは簡単ではなく単純に「開業医のほうが儲かる」というわけではありません。万が一赤字経営になった場合には自分の貯蓄を切り崩し、自己負担をしなければいけない状況も発生しうるのです。 個人で開業、もしくは医療法人を経営する場合でも、院長としての報酬とは別に将来のために備えておく必要があります。 開業医のリスク 開業と同時に経営者としての責任が発生します。つまり様々なリスクを想定し、経営基盤を築いていくことが重要です。開業さえすれば患者さまが集まって順調に経営できるというわけではありません。例えばSNSでネガティブな口コミが拡散し、患者さまが来なくなることもあるかもしれません。医療過誤による訴訟やスタッフの退職。何が起こるかは予測ができません。また誰しも陥りやすいのはやはり資金面での見通しが甘いというケースです。 歯科医院は他業種と比べると開業に多額の費用が必要です。確かな事業計画は融資を受ける際にも必要ですし、事業計画の見通しの甘さによって運営が立ち行かないということは往々にしてあり得ます。様々なリスクに対する備えやサポート体制を作っておき、経営者としてリスクヘッジしていくことが大切です。 歯科医開業の成功 勤務医から開業医へ転身する際には、多額の費用や思いもよらないトラブルが生じ「こんなはずでは・・・」と思う日もくるかもしれません。しかし、様々な困難を乗り越え個人開業から大手医療法人へと成功を遂げ、年収3000万円オーバーの方たちが存在するのもまた事実です。歯科医としての成功者、そんな方々はリスクに対する備えが万全です。さらには日ごろからあらゆる情報に敏感で、常に患者目線であり、成功を信じてたゆまぬ努力と工夫を地道にされてきたことが共通点といえます。現在過剰気味と言われる歯科医院ですが、10年後には歯科医を開業する人が減る一方で高齢者は増加の一途であり歯科診療そのものが供給不足になることが考えられます。真摯に患者さまと向き合い、地域に根差した診療を続けることで長く通ってくださる患者さまが増えることでしょう。そういった姿勢こそが安定した集患につながり、ひいては高収入歯科医へと繋がると言えるのです。

歯科医院開業時の顔認証付きカードリーダー(マイナンバー)申請は必要か?

2022.5.23

マイナンバーカードの普及が広がりつつあり、マイナンバーカードを取得している方が増えてきています。一部医療機関や薬局では保険証としてマイナンバーカードを利用できるようになりました。歯科医院を開業する際にも、マイナンバーカードを利用して受診できるシステムを導入することを考えている先生方は多いのではないでしょうか?今回は、顔認証付きカードリーダーの申請について詳しく見ていきましょう。 マイナンバーカード普及率は? 2021年12月14日~12月16日に、全国の男女1,400名を対象に「マイナンバーカードの利用」についてアンケートの結果を元に見ていきましょう。 マイナンバーカードを取得している方は、66.2%と半数を超えています。実際にマイナンバーカードを利用したことのある方は、67.2%と6割以上の方は便利なサービスを受けていると分かっています。中でも、保険証として利用した方は、2.2%という結果となりました。 保険証として利用できるシステムが増えたのは、2021年10月20日から本格運用ということもあり、利用している方も少ないようです。 引用元「日本トレンドリサーチ」(https://trend-research.jp/11259/) 株式会社NEXER(https://www.nexer.co.jp) 顔認証付きカードリーダーの普及率は? 厚生労働省によると、全国の病院と医科・歯科の診療所、薬局(計22万9201施設)のうち、2021年10月3日時点で専用の顔認証付きカードリーダーを設置し、準備ができているのは7.4%(1万7032施設)と、普及率は低いと分かっています。 しかし、国により無償提供されるカードリーダーの申し込みは、10月3日時点で、56.2%(12万8789施設)が完了しています。今後も利用できる医療機関が増えると予測されています。 また、マイナンバーカードを保険証として利用するには、事前にインターネット上の「マイナポータル」での行政手続きまたは、医療機関でも登録の手続きができます。 設置するメリット 医療機関の受診だけではなく、希望すれば薬の処方歴や生活習慣病などの既往歴の情報を医師同士で共有でき、より適切な医療体制を整えることが可能になります。カードリーダーと共に、資格確認端末を導入することで、レセプトコンピューターと連動できます。 また、患者さんの直近の資格情報などが確認できるため、期限切れの保険証でのトラブルで多い、過誤請求や手入力などの事務業務の負担が減ります。レセプトの返戻も少なくなるのもメリットです。 患者さんと歯科医院どちらにもメリットがあり、今後カードリーダーを設置する機関や連動する患者さんが増えるのではないでしょうか。歯科医院を開業される際には、ぜひ設置したいですね。 顔認証付きカードリーダーの補助金 2021年4月以降に顔認証付きカードリーダーの申し込みを行った医療機関には、一部補助金支給されます。2023年3月末までに補助対象事業を完了させ、2023年6月末までに補助金交付申請をしたものが対象となるため注意しましょう。歯科医院は、顔認証付きカードリーダーは、1台は無償提供、2台目~4台目(補助限度額は 32.1万円)まで交付を受けることが可能です。 手続き準備と手続きの方法 医療機関等向けポータルサイトで申し込みします。申し込みの際、医療機関コードが必要です。新たに歯科医院を開業される場合でも、アカウント登録用の「仮コード」を発行すれば手続きが可能です。 また、導入時期をレセプトの導入を担当している事業者に相談して決定します。オンライン資格を利用するための申請、機器の設置、患者さんへのお知らせ等も行って行きます。運用する日を決定して入力し、窓口でオンライン資格確認を開始した後に、補助金の手続きができます。 手続きに必要な書類は、「領収書(写)」、「領収書内訳書(写)」、「オンライン資格確認等事業完了報告書」の3つです。後は、医療機関等向けポータルサイトで、必要事項を入力し、書類をアップロードすれば申請完了です。※書面での郵送手続きも可能です。 まとめ 歯科医院をはじめとする医療機関での、顔認証付きカードリーダーの導入は、患者さんと医療従事者にとって適切な医療を受けられる・提供できるという最大のメリットがあります。 受付時も密を避けることもできるため、医療機関である歯科医院には、導入するべきではないでしょうか。 患者さんがスムーズに安心して歯科治療を受けられる医療体制と不安を少しでも取り除ける待合室作りができるかもしれません。導入を考えられているのであれば、医療機関等向けポータルサイトで申請をしてみましょう。

歯科医院開業 開業資金の調達

2022.5.16

資金調達方法 歯科医院を新規に開業するためには5000万円以上の資金が必要だと言われています。すべて自己資金という方もいらっしゃるでしょうが、多くの場合何らかの形で融資を受けることになります。今回は資金調達の方法について説明していきます。 ① 公的融資 公的融資とは政府や自治体など公的機関から融資を受けることを言います。代表的なものが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は「一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とし、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための金融機関」です。公的機関と聞くとハードルが高く感じられるかもしれませんが、銀行からの融資と比べ縛りが少なく申請しやすいのが特徴です。歯科医開業で受けられる融資制度に「新創業融資制度」があります。無担保、保証人なしで3000万円まで融資を受けられることが特徴です。 どんな融資を受けるにも事業計画が経営者目線で作られているかは重要です。よりシビアな事業計画を提出することで融資を受けられるかが格段に変わります。また公的機関である日本政策金融公庫では自己資金の有無というよりも、自己資金を貯めるための経緯、すなわち資金管理能力を見られていると思ったほうがよいでしょう。公共料金の支払いがきちんとなされているか、税金の支払いは滞っていないかなどをチェックされます。しかし歯科医開業の満額融資は一度断られることが多いといいます。ここで諦めることなく何度でも交渉に出向きましょう。一度の相談で断られたからと言って簡単に諦めてはいけません。何か改善できる点はないか相談し、本気で開業したいことをアピールすることも大事です。 ② 保証付き融資 信用保証協会に保証料を支払うことを条件に銀行から融資を受けることを言います。信用保証協会とは各都道府県にあります。一般的な銀行において保証協会なしのプロパー融資については難しいと考えてください。逆に、保証協会付きであれば可能性は高くなります。まずは信用金庫など地域に根差した金融機関に相談しましょう。 ③ ファイナンスリース 歯科医院に置いて費用の大半を占めるのが設備投資。資金に余裕があれば購入したいところですが、開業資金に余裕がない場合リース契約するという手段もあります。融資の枠を使わずに導入でき、審査期間も短くて済みます。また購入時に発生する事務手続きが少なくなります。また、リース期間を終えればその時点で新しい設備をリースすることも可能です。CTや電子カルテと言った数年で性能が向上する設備はリースのほうがよい面もあります。しかし、リースはレンタルとは違い途中解約できずフルペイルアウトが基本取引です。フルペイルアウトとはそのリース物件からもたらされる経済的な利益を享受することができる反面、使用することで生じるコスト(税金やメンテナンス費)を負担している状態のことをいいます。導入費用は抑えられますが、結果的に購入よりも高くなってしまうことがあります。金利によっても左右されますので、比較検討が必要です。 ④ 公的機関からの補助金・助成金 「トライアル雇用助成金」や「IT導入補助金」など金融機関からの融資とは違い用途が限定されますが、返済義務がなく担保や保証の必要がないことが最大の特徴です。これだけ聞くととてもお得に感じるかもしれませんが、申請すれば必ず受給できるというわけはなく税金からの助成ですので準備する資料も手間がかかります。また、助成金は開業資金として活用はできません。開業後の運営において補助的な役割を果たすものとお考えください。 融資を受けるにあたって大切なことは「事業計画」です。それは日本政策金融公庫であっても金融機関であっても同じです。新規開業は実績を評価できません。事業計画から開業者の能力を判断するしかないのです。事業計画を作りこむことは並大抵の労力ではないでしょう。しかし融資を受けるためにはシビアに作ることが大事です。見通しの甘い事業計画では経営能力を図ることはできません。経営者として長期的に分析し作り込んでおきましょう。

歯科医院開業 必要な資金ってどれぐらい?

2022.5.09

「何に」「いくら」必要か 歯科医院を新規に開業するにあたって必要な資金は5,000万円以上と言われています。いったい何にいくら必要なのでしょうか。テナント物件を賃貸し開業すると仮定し、準備しなければいけない資金について説明していきます。   ①    物件費 家賃50万円のテナント物件を賃貸した場合、敷金・礼金・保証料などトータルで500万円ほどになると言われています。敷金の月数によってはそれ以上になるでしょう。大まかな目安として家賃の10ヶ月~15ヶ月分と想定しておきましょう。駅近で利便性の高い場所は集患が見込めますが、おのずと家賃も高くなります。故に家賃が安くなれば、物件に対する初期費用も抑えられるのです。   ②    内装工事費 内装工事費は1500万円~2000万円と言われています。足場などの仮設工事から始まり、クロス貼りから給排水に至るまでさまざまな工程があります。歯科医院は患者さまごとに診療ユニットを使用するので、給排水用に床のかさ上げ工事が必要です。クロスやライト、パーティション。こだわりたいところはたくさんあるでしょう。また、入口や外装の看板デザインは歯科医院のイメージを司る大事なものです。信頼のおける業者、数社に見積を取って比較検討することが大事です。   ③    医療機器・設備費 医療機器や設備費では2,000万円以上になります。 医療機器はグレードによって価格が変動します。歯科診療ユニットは複数台必要ですし、それに伴ってエアーコンプレッサーやバキュームシステムも必要でしょう。仮に500万円の診療ユニットを3台設置した場合、エアーコンプレッサーとバキュームシステムで100万円。それだけで1,600万円になってしまいます。エックス線機器は近年デジタル化されていますので1,000万円以上と高額です。医療機器は他にもありますので予算に合わせた選定が必要です。他にも待合室、トイレ、キッズコーナーなどの設備も考えなくてはなりません。さらに電子カルテやWEB予約システムを導入するなら、メンテナンスやサポート料などの月額使用料が加算されます。   ④    広告宣伝費 インターネットを利用した広告や新聞折り込み、ポスティングやフリーペーパー。幹線道路沿いの広告看板。それぞれ広告にはさまざまな規制があります。それらを考慮し効果的な宣伝をしていかなければ集患できません。ホームページ制作も同時に行います。今やホームページはクリニックに必要不可欠です。近隣の歯科医院を探すとき、多くの患者さまが検索し口コミをチェックします。わかりやすく明るいイメージのページ作りを心がけるといいですね。併せて求人募集も行うとなれば、その広告費も掛かります。さらに内覧会を開くとなればその準備にも予算が必要です。少なくとも300万円以上を見込んでおきましょう。   ⑤    歯科資材・消耗品 治療器具は患者さまごとに消毒、交換する必要があるので数10セット必要ですし、マスク、グローブなどの消耗品はある程度ストックしておく必要があります。また、新型コロナウイルス対策用に消毒液や検温器の準備も必要になります。ただし消耗品はコストを抑えられる費目ともいえます。当初は200万円ほどみておき過剰在庫にならないよう在庫管理を徹底する、さらに少しでも単価が抑えられるよう定期的に価格調査を行っていくことも重要です。   ⑥    人件費などの運転資金 開業からすぐに大勢の患者さまが押し寄せるということは極稀で、実際は経営が軌道に乗るには数か月を要します。診療報酬が支払われるのも2か月ほど先になりますので、保険診療や自費治療の窓口負担分だけの収入になります。そのため安定した集患が見込めるまで数か月分の人件費や光熱費を払うための運転資金が必要です。忘れてはいけないのが開業されるあなたの生活費。運転資金の目安は1,000万円と言われていますが、余裕があればあるほど資金繰りに困ることなく経営ができます。雇ったばかりのスタッフをすぐに手放すことのないよう、事業計画・資金計画はしっかり練っておかなければなりません。   まとめ 開業に必要な資金を大まかに説明しました。設備投資に5,000万円以上かかるということは、さまざまな融資を受ける方も多いでしょう。融資を受けるにも審査があり、自己資金がいくらあるかも重要です。あれこれこだわりたいところですが、それぞれの費用をシビアに見積もり事業計画を立てなければ経営が破綻してしまいます。コンビニエンスストアよりも歯科医院が多いと言われる時代です。そこで生き残り患者さまに支持される医院であるためには、自分だけでなく専門家の意見も聞き無理のない資金繰りをしなければなりませんね。

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