歯科治療費の医療費控除 Part.1

控除対象になる医療費、ならない医療費

歯科診療では保険診療のほか自由診療が数多くあります。それらは高額であるため医療費控除の対象かどうかは患者さまの関心も高いことでしょう。歯科診療における医療費控除の対象を具体的に解説していきます。

※ 2020年4月より、生まれつき永久歯が生えてこない先天性欠損歯(先天性欠如歯)が6歯以上ある場合、公的医療保険適用の元、インプラント治療を受けることができるようになりました。

・先天性欠損が6歯以上ある(生まれつき6本以上の歯が欠損している)
(あるいは前歯の永久歯に3歯以上存在するが生えてこない歯がある)
・先天性欠損が連続して4歯あるいは5歯以上ある
(歯列矯正後も4~5本以上歯が欠損している部分がある)

上記の二つの条件に当てはまる場合、インプラント治療を公的医療保険適用下で受けることができるということです。

 

 

 

★歯科矯正など高額な治療費を払う場合に歯科ローンを使って支払うことがあります。その場合、信販会社が立替払いをした年(歯科ローン契約が成立したとき)の医療費控除の対象になります。歯科ローンを利用した場合、歯科医の領収書がない場合がありますが歯科ローンの契約書等で医療費控除の証明をするので紛失しないよう注意が必要です。

 

控除の対象となる要件

医療費控除の対象は「本人、または本人と生計を共にする配偶者、その他親族のために支払った医療費」と定められており、単身赴任や通学で別に暮らしている場合や妻や子が扶養を抜けていても生計が同じであればまとめて控除を受けることができます。
医療費控除の医療費は医療機関への支払日を基準にしています。その年の1月1日から12月31日までの間に支払ったものが対象です。前年の治療であっても支払日が翌年であれば翌年の控除の対象となります。


医療費控除は以下のように計算をします。

実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額(※1)= A
A-10万円(※2)=医療費控除額(最高200万円)

※1 生命保険契約などで支給される入院費給付金、健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
※2 その年の所得金額の合計額が200万円未満の場合は、所得金額の5%


医療費控除は、支払った所得税の額を上限とし、所得税が還付される制度です。医療費控除額全額が還付されるのではなく、この金額に所得税率を掛けたものが還付されます。そのため、年末調整等により納める所得税がない場合には、還付金として戻ってきません。
また、その年に支払った所得税額が還付の上限になります。

新型コロナウイルス感染症に関わる医療費控除

新型コロナウイルス感染症に関わる費用が医療費控除の対象となるかの判断は「実際に診察・治療に関わる費用か」ということが判断基準となります。

新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある方へのPCR検査等、医師が判断した検査費用は医療費控除の対象ですが、公費負担により行われる検査については対象外です。また、濃厚接触者ではないが感染しているか不安があるため受けたPCR検査費用は医療費控除の対象ではありません。ただし検査によって陽性と判明し治療を行った場合には、治療に先立つ検査として医療費控除を受けることができます。

オンライン診療であっても医師の診療や治療のために支払った費用であるため、医療費控除の対象です。また、オンラインシステム利用料はオンライン診療に必要な費用と考えられるため、医療費控除の対象となります。オンライン診療で処方された薬も対象です。しかし処方された薬を自宅に配送してもらう場合、その配送料は対象外となりますので注意が必要です。

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