歯科開業、物件、テナント探しのための基礎知識

歯科医院開院立地、知っておきたいチェック項目

【立地の調査】

□最寄り駅からの距離
□路面店か、2階以上か、地下階か
□間口の広さ
□乗降者数とその推移
□近隣半径1キロの人口と世帯数
□年齢層ごとの人口分布
□会社、工場、公共機関、学校数など
□昼間と夜間の人口数の違い
□生活動線と交通量
□騒音、振動の確認
□周辺の開発計画
□近隣の歯科クリニック件数
□ハザードマップ
□歯科医師会の加入状況

【歯科医院が作れるか?】

□歯科医院設置のオーナー承諾
□天井高(歯科ユニット設置ができるか)
□電気容量(電源の容量、動力の容量など)
□同じビル内テナントの職種
□配管設備確認
□看板、サインの設置条件
□耐震構造の確認

【テナントの条件】

□不動産借入経費の全体金額を確認
□月額賃料と補償金、敷金礼金、管理費共益費、仲介料、前家賃
□開院前のフリーレント、賃料の交渉
□テナントの登記簿による担保確認
□賃貸借契約の内容「普通建物賃貸借契約」or「定期建物賃貸借契約」
□補償金返還時の償却の有無
□退去時の原状回復内容と負担割合
□家賃保証会社の有無

歯科開業テナント探しのための基礎知識

1.予算と希望を整理する

テナント、物件探しをする前に、自分にとって何が大切かを決めておくことが重要です。
すべての理想と希望を満足させる物件を見つけることはなかなか難しいので、どの条件を優先するのか順位を決めておかないと、いつまでたっても物件を決められません。

(1)まず、いくらまでの賃料なら無理なく支払えるかという基本的なことを決めておくことが重要です。家賃は固定費になります。歯科医院であれば材料仕入、技工料、その他経費、人件費を売上から差し引き、いくら残るかを計算して、無理なく払える金額が最低条件です。

(2)つぎに、全額自己資金で開業をするのか、一部公庫融資などを利用されるのか、資金面を確認しましょう。物件の契約金以外に内装工事費用、歯科用機器、受付事務用機器、歯科材料、宣伝広告やネット関連費用などが必要です。また、金融機関からの融資を利用する場合、融資相談から面談、結果が出るまでに約1ヶ月前後時間がかかります。いつ準備できるのかも事前にしっかりと確認をしておいたほうが良いでしょう。

2.歯科開業の用途に使えるかを確認する

いざ物件を探してみると、物件はたくさんありそうで、多くないです。その理由と用途が関係をしてきます。
まず周辺環境や、競合となる歯科が近隣に多くあったり、良く見て探さないと、借りた後に実は歯科医院を施行できない物件であったりと、歯科医院運営に支障が出てしまい、最悪物件を借りても事業ができず解約せざるをえなくなってしまう場合もあります。
また、歯科医院の内装工事の場合、配管工事を行うために床上げして歯科ユニットを設置します。そのためにはそのテナントの天井までの高さがどれだけあるかが重要です。またスケルトン物件の場合、天井や空調設置のための空間も必要となってきます。これは、内見などで内装工事業者さんや内装デザイナー、歯科医院開業専門のコンサルタントに相談しながら確認を行いましょう。
物件選びは慎重に行い、歯科医院開業のテナントに強い不動産会社に相談することをお勧めします。

歯科開業に適したテナント情報の集め方

1.インターネットで情報収集

インターネットでテナント情報収集は広範囲の情報を素早く収集できますし、賃料相場を把握するのにも便利です。しかし、その反面良いと思う物件は皆同じで、情報公開されている物件のためすぐに申し込みが入ってしまうことも多く、すでに成約してしまったテナント情報が掲載されていることも多々あります。
そのため、開業したい立地近くの不動産会社さん、あなたが信頼できる不動産会社さんに、気になるエリアにテナントが出たらすぐに連絡してもらうように頼んでおきましょう。できれば何社かに依頼した方がより良いでしょう。

2.現地に行って物件を見て回る

1階路面店の貸店舗では、すぐに決まるということもあり、インターネットなどに掲載する前に、現地で空き看板を見つける事もあります。開院したいエリアが決まっている場合は、少なくとも何回か定期的にそのエリアに足を運ぶことをお勧めします。

テナントの「申し込み」とは

1.「申し込み」は「契約」とは違います

物件を下見して気に入った場合、不動産会社に「申込書」を提出することになります。
この申込書の書式は、不動産会社によってまちまちですが、記入項目は住所・氏名・年齢・職業・年収など、法人の場合、法人の内容と詳細、年間売上規模などが必要です。
申込書はあくまで契約する意思を確認するための書類であって、「賃貸借契約書」ではありません。
したがって、申込書を提出した後でも申込みをキャンセルすることが可能です。この点は提出する前に不動産会社に再確認しておきましょう。
ただし、キャンセルは不動産会社やビルオーナーなどに少なからず迷惑をかけることになるため、申し込みをする際はくれぐれも慎重にしてください。
また、フリーレントなど賃料に関わることを貸主から承諾頂く為の交渉は、申し込みまでに確認し回答をもらいようにしておきましょう。

2.審査で断られることもあります

貸主は借主が提出した「申込書」をもとに、その希望者と契約するかどうかを判断します。
これを「審査」といいます。審査にかかる時間は大体一週間ぐらいが一般的です。
この審査では貸主がOKしないケースつまり断られる場合もあります。貸主から見れば、大きな財産である不動産を他人に貸すわけですから、社会的に信用でき、経済的に安定している人、契約を守る人にテナントを貸したいと考えるのは当たり前のことでしょう。

3.預かり金・手付金を支払うとき

テナントを下見して気に入った場合、申込書を提出する際に、数千円から家賃の1ヵ月分までの金銭を不動産会社に預けるケースがあります。これは、「預り金」「申込証拠金」「申込金」「手付金」と呼ばれています。
しかし、金銭を預けた場合でも「借りたい」という意思表示を行ったに過ぎず、契約の優先権を確保したわけでもなく、契約が確定したわけでもいないことに注意しましょう。つまり、預り金を不動産会社に預けても、貸主の承諾がなければ契約は成立していないとみなされます。
賃貸借契約が不成立の場合、預り金は返還されますが、念のためそのことを明記した預り証を必ず不動産会社から受け取りましょう。
この預り金は、賃貸借契約が成立した場合は必要な費用の一部として取り扱われ、賃貸借契約の関わる支払いに充当されます。
金融機関などより融資を受ける際は、借入確定から決済までに時間がかかってしまうため、貸主から直接預かり金を請求されることもあります。

テナント賃貸契約で必要なもの

1.契約までに用意する書類一覧

(1)契約までに用意する書類一覧
賃貸借契約までに個人・法人で用意する書類は次のとおりです。
Ⓐは個人契約、Ⓑは法人契約
Ⓐ契約者の住民票・身分証明・連帯保証人の印鑑証明書・印鑑・実印
Ⓑ法人の謄本・印鑑証明・決算書の写し・連帯保証人の印鑑証明書・実印・印鑑

(2)契約までに用意するお金一覧
首都圏の場合、賃貸借契約までに用意する資金とその目安になる資金の詳細は以下のとおりです。
礼金…家賃の0~2ヵ月分
敷金・保証金…家賃の2~10ヵ月分
不動産仲介手数料…家賃の0~1.08ヵ月分(消費税含む)
前家賃…家賃と管理費の1ヵ月分程度
損害保険料へ加入費用
家賃保証会社…契約時に「初回保証料」として『月額賃料+管理費等』の30%~100%を保証会社に支払

(3)連帯保証人の保証書を用意する
連帯保証人の保証書とは、万一の際には連帯保証人が契約者の債務(家賃の滞納分など)を肩代わりするという内容の書類です。これは、不動産会社によって書式も名称もまちまちです。
「保証書」「保証契約書」「連帯保証契約書」「保証人引受承諾書」など。いずれにしても、賃料などで何かあった場合、連帯保証人が契約者の債務を保証するという内容の契約書です。保証書には通常の場合、連帯保証人の実印を押印することになっています。
賃貸借契約を結ぶことが決まったら、事前に連帯保証人にこの保証書を書いてもらいましょう。

2.契約時の重要事項説明書って?

(1)重要事項説明書をチェックする
重要事項説明書とは、物件概要や契約内容を詳しく記載した書類です。不動産会社は、賃貸借契約を結ぶ前にこの重要事項説明書を契約者に交付する義務があります。
重要事項説明書は、契約書と重複する内容も含んでいますが非常に重要な書類です。
不動産会社は重要事項説明書を契約者に交付する際に、その内容を契約者に説明する義務があります。このとき内容を説明するのは、一定の資格を持った人(宅地建物取引士)が取引士証を明示して行わなければなりません。
重要事項説明書の内容を聞いているときに疑問が出てきたら、その場で必ず質問してください。そして、最終的に内容をしっかりと理解した上で、納得してから契約手続きに入ってください。
また、定期借家契約(更新のない賃貸借契約)の場合、ここで必ず説明があります。
定期借家契約は、期間が満了になると契約終了になりますが、互いに合意すれば再契約できますので、再契約の申し込みや方法などは十分に説明を聞いてください。

(1)契約書は納得してから署名する
契約を行う場合、賃貸借契約書は説明を一通り聞いただけですぐに署名・押印するのではなく、不動産会社に分からないところを必ず質問し、理解し納得してから署名・押印するようにしてください。なぜなら、不利となるような契約でも賃貸借契約書を結んだ時点で、キャンセルは原則的にできなくなるからです。
例えば、契約した後で、様々な理由で気が変わり、契約開始(賃料発生日)前に契約をキャンセルしようとしたとします。契約開始(賃料発生日)前であっても契約は始まっているわけですから、通常の場合、礼金・仲介手数料は契約者には戻ってきません。
契約者には、基本的に敷金、保証金(*)が戻ってくるだけです。
(*保証金に償却がある際はその分が差し引かれて戻ってきます)

まとめ

テナント物件情報の探し方や、歯科医院に適した物件を探す上で欠かせないポイント、テナントの不動産契約する時の基礎知識を簡単に説明しました。
一生に何度も経験しない物件探しや不動産契約となるからこそ、必要最低限の知識と注意が必要となります。
これ以外に、歯科開業のテナントで注意したい点もいくつかありますが今後の当社ホームページに載せていきますのでご期待ください。
歯科医院を開業したいエリアがなんとなく決まったら、まずはデンタルサービスにお気軽にお問い合わせください。このほか歯科開業に関するご相談承ります。

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